Pentaxのオールドレンズ「Super Takumar 55mm f1.8」のレビューをお届けします。PentaxのSuper Takumar 55mm f1.8は以前ご紹介したHelios 44-2 58mm f2.0と並んでオールドレンズの入門機と言われています。Super Takumarの方は、「虹色ゴースト」がでることが最大の特徴です。Super Takumarもフルサイズ用マニュアルレンズですが、非常にコンパクト。虹色ボケばかりが注目されますが、実はスナップ写真でも背景が美しくボケてくれます。早速、作例をご覧ください。
(Photography & Text : crakaf)
前回のHeliosと同じ白の彼岸花を撮影しました。今回のSuper Takumar、F1.8の明るさは、開放撮影でピントも合焦しつつ、背景がとけるようにボケてくれます。Helios 44-2 f2.0のぐるぐるボケも印象的でしたが、Super Takumar F1.8は、55mmの若干望遠よりの構図と相まって、より被写体を際立たせてくれます。
SUPER TAKUMAR 55MM F1.8と言えば「虹色ゴースト」です。雲に隠れた太陽をND400のフィルターを付けて撮影しました。太陽に直接レンズを向ける際は、センサーが焼けてしまわないように、ND400など強めの減光フィルターを装着するようにしてください。光源への角度を調整すると、虹色ボケの直径を調整することができます。
道ばたの彼岸花を撮影しました。花にピントを合わせると、林立する彼岸花は徐々にボケてゆき、背景の木漏れ日はとけるようにボケてゆきます。虹色ゴーストだけではなく、植物の撮影なども怪しげな雰囲気で撮影できます。
もう少し寄ってみると木漏れ日が大きくボケ始めました。55mmのレンズをAPSC機のα6400に装着すると、焦点距離は1.5倍の82.5mmの中望遠となります。この画角は集中して目をこらして見たときのように構図を整理でき、ボケも大きくなって好きな画角になります。
Super Takumar 55mm + α6400はテーブル・フォトにも使いやすい組み合わせです。IKEAに行くといつも注文してしまうロースト・ビーフを撮りました。このローストビーフのタレは家ではどうしても再現できないので、IKEAに寄るといつも頼んでしまいます。
この日はサーモンのソテーもありました。グリーンピースとカリフラワー・ライスが付いたヘルシーなセットです。これもソースがおいしい。IKEAのローストビーフのソースを販売して欲しい!ともかく、Super Takumarはテーブルフォトもよい雰囲気で撮れます。
わが家の「パキポディウム・マカイエンセ」の実生数日目も撮影しました。焦点工房のアダプター「SHOTEN マウントアダプター LM-SE M (L)+5mm」を間に挟みました。これは+5mmのヘリコイドでレンズを繰り出して、最短撮影距離を縮めることができます。ここまで寄ると背景も溶けて、被写体を浮き立たせてくれます。それにしても、マカイたちは、初めは豆苗にしか見えません。「これから一体どうしたいの?」と聞きたくなります。ここから太くなるのかな。Super TakumarとSHOTENのアダプターなら植物の撮影にも使えますね。
Sonyのαシリーズで使用する場合は、「M42→Eマウント」のマウントアダプターを間に設置するか「M42→L/M」+「L/M+Eマウント」のマウントアダプターを2つ付けて撮影します。今回はライカMマウントのマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカスに変換できるSHOTENのヘリコイド付きアダプターを接続しています。
Super Takumarと言えば「虹色ゴースト」ですが玉ボケの感覚を確かめるため、最短撮影距離にピントを合わせて植物育成LEDライトを撮影しました。無限遠で撮影したためボケ方はおとなしめで、輪郭ははっきりしている印象です。最短撮影距離に合わせて撮影するとさらに大きくボケますが、光源が溶けて行きます。
Super Takumarには前期型と後期型があります。今回撮影に使用したのは、後期型でレンズに微量の放射性物質が含まれるために経年によってレンズが黄色に変色するアトムレンズと言われています。ただ、レンズの色が撮影に影響するような印象はありません。
虹色ゴーストだけじゃない日常使いしたいコスパ良好なレンズ
Super Takumar 55mm f1.8は中古品のため価格は5千円台から1万円台で購入できます。解像力も高く、光源を入れれば虹色ゴーストで印象的な写真が撮れる。現行レンズでは表現できない世界をこの価格で手に入れることができるのは価値あるのではないでしょうか。APSC機の「α6400」と「SHOTEN」のヘリコイド付きアダプターのセットで撮影しましたが、コンパクトサイズからは想像できない毎日持ち歩きたくなるSuper Takumar 55mm f1.8。このレンズも是非一度お試しいただきたいレンズです。