Heliosのオールドレンズ「Helios 44-2 58mm f2.0」のレビューをお届けします。Helios 44-2は旧ソ連製のM42マウント標準レンズです。背景がぐるぐると巻いたようにボケる「ぐるぐるボケ」で人気のオールドレンズ。虹色フレアが出ることで有名な「Super Takumar 55mm f1.8」と共にオールドレンズ入門として支持されています。フルサイズ用マニュアルレンズですが、マウント部分を別に全長46mm、直径60mm、重さは213gでコンパクト。彼岸花を「Helios 44-2 58mm f2.0」の初期型(シルバー色)とAPSC機α6400で撮影しましたので、早速作例をご覧ください。
(Photography & Text : crakaf)
F2.0の明るさは、開放で撮影すると被写体に程よくピントが合うため心地よく撮影できます。F1.4やF1.2も暗所撮影で活躍しますが、昼間に開放でボケ感を求めるなら、F2.0でもNDフィルターが必須となります。開放F2.0なら珍しい白の彼岸花の背景が怪しくボケます。
α6400に「LM-EA7」経由でマウントして、オートフォーカス化して撮影しました。フレンチトーストのような被写体でもピントはしっかり合焦していることに感動します。
美術館のカフェでフレンチトーストとチーズケーキ、ジンジャーエールを写真撮影。α6400に接続すると、焦点距離は1.5倍の35mm換算87mmの中望遠レンズとなります。最短撮影距離は50cmですが、APSC機で利用すればテーブルフォトにも「ちょうどよい」距離感となります。
Helios 44-2 58mm f2.0の特徴でもある「ぐるぐるボケ」は花などの派手な被写体を撮りたくなりますが、ふとした瞬間を捉えた日常のテーブルフォトでも前ボケ、後ボケ共に印象的な写真を出してくれます。開放f2.0なら、背景整理も絶妙です。
Sonyのαシリーズで使用する場合は、「M42→Eマウント」のマウントアダプターを間に設置するか「M42→L/M」+「L/M+Eマウント」のマウントアダプターを2つ付けて撮影します。今回はライカMマウントのマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカスに変換できるTECHARTの「LM-EA7」を使いたかったので「Helios 44-2 58mm f2.0」→「K&F consept M42→L/M」→「LM-EA7」→「α6400」で接続しています。
Helios 44-2 58mm f2.0といえば、ぐるぐるボケです。玉ボケの感覚を確かめるため、最短撮影距離にピントを合わせて植物育成LEDライトを撮影しました。盛大な「ぐるぐるボケ」を想像していましたが、意外にも周辺部のボケは想像していたよりも円形のくずれが少なく、決してうるさいボケ味ではありません。イルミネーションを撮影する際などのご参考にしていただければと思います。
Helios 44には複数の種類があり、無印のHelios 44から44-6までのバリエーションがあります。今回使用したのはHelios 44-2の初期バージョンで外装は珍しいシルバー色です。シルバー色はHelios 44時代に多いようですが、Helios 44-2も初期バージョンはシルバーです。このバージョンの注意点としては、先端部にある絞りリングが非常に軽くて隙間を感じるほど「すかすか」に回転するという点です。絞りリング部分はオールドレンズだとしてもチープな作りですが、使っている内にそれも「かわいい」と思えるのがHelios 44-2 58mm f2.0の初期型シルバーです。
一日中使っていたくなるコスパがおかしなことになった万能レンズ
Helios 44-2 58mm f2.0は中古品のため価格は1万円弱から2万円台で購入できます。被写体はしっかりと解像し、背景はグルグルボケで印象的に整理してくれる。この価格でこの写り、LM-EA7等を利用すればオートフォーカスも効く。手にしてみる価値はあるのではないでしょうか。APSC機の「α6400」と「LM-EA7」のセットで撮影しましたが、こんなにコンパクトで、価格も現代の純正レンズと比較すれば、お財布にも優しい装備で、幻想的なぐるぐるボケの写真が撮れる。コスパが「バグった」オールドレンズの代表格Helios 44-2 58mm f2.0。是非一度お試しいただきたいレンズです。